中国:高収入・高学歴者の都市集中で格差が固定化

戸籍改革の必要性

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2012年06月06日

サマリー

◆これから退職年齢を迎える年齢層で、小学校卒業以下の学歴の人々が相当程度の割合を占めることは、生産年齢人口の維持にとって大きな問題になり得る。生産年齢人口の維持には退職年齢の引き上げが一つの方法になるが、労働力の質的な問題が大きいため、中国ではその効果は低い。中長期的には、生産年齢人口の減少が潜在成長率の低下をもたらす公算は大きい。

◆中国では基本的に、農村戸籍の者が都市の大学に進学すると、再び農村戸籍に戻ることはない。結果として高学歴者は都市に集中する。しかも、最終学歴と年収の関係をみると、修士までは学歴が高いほど年収も高い。ここに、高学歴者の都市集中による格差拡大と固定化への強い懸念が示されることになる。この点で、重慶市など一部地域で、都市と農村の戸籍統一のテストが実施されているのは、評価すべき前向きな一歩である。戸籍統一の際には、農村戸籍の人々にも平等に教育機会が与えられ、大学卒業後も農村で魅力的な職場が提供されることが同時に行われる必要があろう。

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