ブレーキとアクセルを同時に踏む中国

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2011年09月20日

サマリー

◆中国の金融が引き締めすぎになるのではないか?との懸念が高まっている。特に、中小銀行の貸出余力はかなり逼迫しており、現地では中国人民銀行の次の一手は、預金準備率の「引き下げ」との見方も出てきている。ただし、これが実現したとしても行きすぎの修正であり、金融緩和の始まりを意味するわけではない。

◆物価抑制は当初想定していたほど、容易なものではなかった。ピークアウト時期は後ずれし、今後の鈍化ペースも緩やかなものとなろう。当面の中国経済は、ブレーキから足が離れることなく、アクセルが同時に踏まれる状況が続くと想定される。ブレーキとは、金融引き締め維持、高級不動産の投資・投機抑制、省エネ・環境保護の重視であり、アクセルとは、積極財政、保障性住宅の建設加速、第12次5ヵ年計画の本格始動である。大和総研では、2012年の実質GDP成長率見通しを従来の12.0%から10.2%に引き下げた。また、従来は景気過熱を抑制するために、2012年に大幅な金利引き上げを想定していたが、そのリスクも低下しよう。

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