決算短信の「予想」にみる今期の配当傾向

半数近くが増配予定も、前期に比べると見通しは控えめ

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サマリー

◆東証プライムまたはスタンダード市場に上場する3月期決算企業の今期の配当見通しによると、半数近い企業が増配を予定している(10月8日時点)。ただし、足元は6割の企業で増益を見込んでいることに比べると、配当の予想は控えめな企業が多い。前期(約63%)や前々期(約56%)では、増配した企業の比率と増益だった企業の比率はほぼ同じであった。

◆足元は、まだ9割以上の企業が期初時点の配当予想を維持している。特に下方修正した企業は19社(うち、MBOやTOB賛同により無配への変更が13社)と少ない。直近の3期間で見ると、期初時点に掲げた配当予想を下回って着地したケースは全体の5%未満に留まる。近年は配当政策に累進配当や年間配当の下限を設ける企業が増えていることから、企業側が配当の下方修正を極力回避しようとする姿勢がうかがえる。

◆株主還元を強化する一環で、配当性向を引き上げる企業も多い。ただし、今期は直近2期に比べると、配当性向を引き上げる企業の比率は低下している。足元は前期と同程度の配当性向を維持し、同水準の配当または増配を計画する企業が多い。

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