2023年07月20日
サマリー
東京証券取引所(東証)から上場会社に要請された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」では、自社の経営や市場からの評価を分析し、それを用いた対話を通じて投資家との間で生じている認識のギャップを埋め、自ら経営の質を改善していくことが求められている。
一部の会社では対応が始まっており、投資家の期待も高い。しかし、上場会社はリソース、成長ステージ、外部環境などにより状況が異なり、本要請に対する反応も一様ではない。このことを踏まえると、資本コストや株価を意識した経営を根付かせるためには、上場会社の状況ごとに異なったメッセージの発出やサポートを行うことが考えられる。また、経営者などの報酬体系の再考を促進し、インセンティブ設計を変えていくことも考えられる。
本要請では機関投資家による上場会社との対話にも期待がかかるが、対話のためのリソース不足など、機関投資家が抱える課題もある。こうした課題を一つ一つ明らかにして、対応していく必要があるだろう。上場会社、機関投資家、東証などの市場当局が知恵を出し合い工夫することが、デフレ脱却を迎えた今こそ求められよう。
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