四半期金融レポート 2021年1月号

①対外・対内証券投資はプラスを維持、②家計金融資産の動向を点検、③企業による攻めと守りの資本性資金の調達

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  • 政策調査部 研究員 中村 文香
  • 坂口 純也
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼
  • 渡辺 泰正

サマリー

◆四半期金融レポートは、国内外の資金循環や金融面での構造的な変化の兆候を四半期ごとに点検することを目的としている。今回のレポートにおいては、以下の3つのテーマを取り上げる。

◆【国際金融:対外・対内証券投資はプラスを維持】2020年1月から11月の対外・対内証券投資は+17兆円の取得超、+8兆円の取得超と、コロナ禍においてもプラスを維持した。対内証券投資は海外投資家にとって魅力的な国庫短期証券が補正予算のために増発されたことが要因の一つとして考えられる。

◆【家計金融:預金の滞留とリスク性資産の時価回復】2020年9月末の家計金融資産残高は、現預金の増加やリスク性資産の時価の回復を背景に1,901兆円と過去最高を更新した。10月以降においても、個人の預金は前年比ベースで高い水準での推移となっている。また、個人投資家においては11月の米国大統領選挙が注目点となった。

◆【企業金融:活用進む、攻めと守りの資本性資金】2020年の企業の資金調達で特徴的な点に、劣後債・劣後ローンといった資本性資金の活用が多く見られたことがある。劣後債は、財務基盤の増強に加えて企業買収や設備投資といった攻めの資金使途が目立つ。対して劣後ローンは、コロナ禍による業況の悪化で毀損した財務基盤を補強することを目的とした守りの資金使途が多く見られた。

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