「国際金融センター」に向けた課題と戦略

アジア主要都市との税制の格差改善と資産運用企業の取り込みがカギ

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サマリー

◆国際金融の機能誘致に対する政府、東京、大阪、福岡の関心は高い。しかし、外部からの「国際金融センター」としての日本の評価に、大きな改善は見られていない。

◆競合するアジアの主要都市(上海、香港、シンガポール)と比較すると、税制等の事業環境や金融セクターの集積度で差をつけられている。特に税制面は、アジアで既に国際金融都市として一定の地位を獲得している香港やシンガポールと比べると、日本の課題も大きい。金融庁は、2021年度税制改正にて、所得税・法人税・相続税につき、高度金融人材や金融事業者が国内進出する際の実務上の障害を取り除くよう要望している。

◆金融実務家からのアンケートでは、東京は銀行業界からの評価は高いが、資産運用業界からの評価が低い。この現状を踏まえ、資産運用を誘致の重点候補とし、日本への進出や事業運営面での不便さを解消できれば、国際金融の機能誘致が実現する確度は高まろう。

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