2020年03月16日
サマリー
◆新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済の減速懸念を背景に、株式市場が動揺した。米国の企業債務が積み上がる中、レバレッジドローンの価格インデックスが急落するなど、米国企業の信用リスクの高まりが意識されている。新型コロナウイルス感染拡大等による事業環境悪化によって企業の返済が滞る恐れもある。
◆金融機関の流動性需要はFRBによる流動性の供給拡大により一服するとみられる。もっとも、FRBの資金供給増は非金融部門の資金繰りの改善には直結しない。リーマン・ショック前後と同様に、資産買入れの対象を広げるなどの措置を行い、非金融部門の信用リスクへの対応が必要になってくる可能性もある。
◆また金融機関にとって、与信先企業の破綻リスクが高まって、損失を計上する可能性が高まることは、自らの自己資本の毀損リスクが高まることを意味する。支払い能力の低下が見込まれる金融機関は資金調達が難しくなる恐れがある。FRBのオペレーション等の対象ではない金融機関が資金を調達できなくなれば、保有資産を投げ売りし、問題がグローバルに広がる懸念が高まるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日