2019年02月28日
サマリー
◆2018年10-12月期の金融収支の注目点は、対内証券投資において、中長期債が+6.6兆円と、現行統計(1996年以降)において最大の流入超となったことである。世界的な株価下落やドル調達コストの上昇を背景に、ドルを保有する海外投資家が、低利で調達した円を日本国債へ投資する動きが強まったことが背景にあると考えられる。
◆2018年は通年で直接投資収益が初めて証券投資収益を上回る水準となっている。対外直接投資の投資収益率が年率7%前後の高い水準を維持していることなどが理由として挙げられる。
◆対外直接投資は堅調な取得超が続いている。2018年は米中貿易摩擦や英国のEU離脱をめぐる動きなど地政学的リスクが高まった期間だったが、中国や英国からの対外直接投資の引き揚げを示唆する大きな変動は、国際収支統計からは見受けられなかった。対内直接投資では、2018年10-12月期の流入超の多くは「収益の再投資」で占められており、新たな投資の純流入は限られていた。
◆対外証券投資においては欧州の中長期債への投資が7四半期ぶりに処分超となった。欧州債利回りの低下とユーロ調達コストの上昇を背景に、資金が流出している様子が見られる。
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