IPO市場の動向と国際化に関する比較
サウジアラムコのIPOで東証は存在感を示せるか
2017年03月17日
サマリー
◆2016年に国内の証券取引所に新規上場(IPO)した企業は83社で、前年比で約1割減となった。前年比で減少したのは7年ぶりである。年度ベースでみても、2016年度のIPO件数は前年度を下回る見込みである。
◆IPO件数は株式相場と連動して増減する傾向があるが、株価が2000年代半ばとほぼ同水準であるにもかかわらず、IPO件数は当時の半数程度にとどまる。特に新興市場への新規上場が減少しており、上場審査体制の強化や、ベンチャーキャピタルによる投資の減少が影響しているものと考えられる。
◆世界的に見てもIPO件数は2000年代半ばに比べ減少している。欧州債務危機や新興国の景気減速および商品市況の変動に加え、中国系企業の海外上場が減少していることも影響しているようだ。
◆海外の取引所に比べ、東京証券取引所では海外企業の上場が少ない。報道によれば、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」がIPOを検討しており、東証も上場先の候補の1つに挙がっているという。東証の外国株は上場廃止が相次ぎ、現在6社しか上場していないが、「サウジアラムコ」の誘致が成功すればIPO件数増加の契機になるかもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年02月25日
増加する介護保険料②
限界が見えてきた健保組合等の加入者の負担
-
2021年02月24日
脱炭素化政策の国際比較に見る日本の課題
新規産業育成や硬直的な日本労働市場への対応が重要
-
2021年02月24日
過剰債務はコロナ後の世界の課題に
当面のリスクは限定的だが、低金利環境の変化には注意が必要
-
2021年02月24日
コロナ禍を踏まえた人口の2025年問題①
東京からの人口流出は地方の人口減少を食い止めるか?
-
2021年02月25日
コロナ危機と選挙の関係~米欧編~
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月30日
東証市場再編の概要とTOPIXの見直し
影響が大きそうな流通株式の定義の変更
-
2020年04月13日
緊急経済対策の30万円の給付対象者概要と残された論点
ひとり親世帯や年金を受給しながら働く世帯などに検討の余地あり
-
2020年12月28日
改正会社法施行規則 取締役の報酬等の決定方針
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目