2012年06月01日
サマリー
◆2011年度の企業の資金調達は全体的に低調であった。投資機会が限定的である一方、手元資金は潤沢にあり、資金需要がみられたのはM&Aが活発な業種など、一部にとどまった。
◆銀行からの借入は減少した一方、社債は全体の発行額が償還額を上回った。負債の長期化を図るため、借入を社債に切り替える動きも一部にみられた。また、海外における資金調達に関しては人民元建の社債発行が増えた。日本企業の中国進出の増加とともに人民元に対する需要も増えており、人民元建社債による資金調達は今後も続くであろう。
◆株式相場の低迷から、増資による資金調達も低調であった。サブ・プライムローン問題に端を発する金融危機以降、IPO(新規株式公開)により資金調達をする企業は減少したが、2008年度~2009年度を底に回復傾向がみられる(件数ベース)。
◆企業の資金需要は低迷しているが、法人向け貸出金残高の下げ止まりや社債現存額が増えている状況を鑑みれば、資金を出し手に戻す動きは2009年度・2010年度と比べ、鈍化しているといえよう。対外直接投資や非製造業の設備投資などが増加することにより、企業の資金需要が順調に回復すれば、資金調達もそれに伴い増加しよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日