日本のウェルス・アセットマネジメントビジネスの方向性

~米欧と同じ付加価値を追求しているか~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載

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サマリー

日本のウェルスマネジメント(WM)業界とアセットマネジメント(AM)業界において、「米欧のWM・AM 業界が追求している付加価値の向上に取り組んでいるのか」は最大の論点である。米欧では、広い意味でのファイナンシャル・アドバイスの質と量の向上が付加価値を高めることにつながっている。特に、投資助言がその核だ。日本でもファイナンシャル・アドバイスの質と量を向上させる経営努力が付加価値を高めることにつながろう。

しかし、日米欧では、これら経営努力を後押しする規制環境にギャップがあり、それが、ファイナンシャル・アドバイスや、そのサービスモデルの格差につながっている。これらが、生成AI等のテクノロジーの進展を伴い、ビジネスモデルあるいはエコシステムの優劣の差につながると考えられる。日本では、従来顧客の個別プロダクトへのニーズに対応するよりも、顧客属性データの収集とデータベース化により、顧客属性に適合するポートフォリオの視点での商品・サービスを提供できる営業体制を整備し、早急に効率性の向上とともにファイナンシャル・アドバイスの付加価値を高めていく必要があるだろう。

大和総研調査季報 2025年春季号Vol.58

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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