2022年10月20日
サマリー
地方自治体に1つ指定され、収納、支払にわたり公金事務を取り扱う指定金融機関は名実ともに地方自治体のメインバンクの地位を示してきた。他方、公金事務は1964 年の制度発足以来ほとんど無償で提供されてきた。
ところが、手数料の新設や値上げを要請されるケースが近年増えてきた。かねて税公金の運用益でサービス原価が賄われてきたが、長引く低金利の影響でこのような内部補てん体制が維持できなくなってきた。もうひとつの収益源の地方債引受はさらに厳しく、相対枠の縮小や入札制の拡大もあり利回りの低下ペースは民間向け貸出金を上回る。
取りえる選択肢の中では公金事務のペーパーレス、キャッシュレス化の推進が最も建設的だ。手数料値上げの代わりにサービス原価を低減し、負担総額を増やさないことが狙いだ。観点を変えれば、メインバンクたる地域金融機関にとって、経営アドバイスに軸足を置いた新たなビジネスモデルの機会になりうる。目先の課題であるデジタル化支援は言うまでもなく、企業分析に準じた財政診断とこれを踏まえた経営アドバイスは、サービスと対価の等価交換に示される対等なパートナーシップ関係が前提となるからだ。
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