2022年10月20日
サマリー
地方自治体に1つ指定され、収納、支払にわたり公金事務を取り扱う指定金融機関は名実ともに地方自治体のメインバンクの地位を示してきた。他方、公金事務は1964 年の制度発足以来ほとんど無償で提供されてきた。
ところが、手数料の新設や値上げを要請されるケースが近年増えてきた。かねて税公金の運用益でサービス原価が賄われてきたが、長引く低金利の影響でこのような内部補てん体制が維持できなくなってきた。もうひとつの収益源の地方債引受はさらに厳しく、相対枠の縮小や入札制の拡大もあり利回りの低下ペースは民間向け貸出金を上回る。
取りえる選択肢の中では公金事務のペーパーレス、キャッシュレス化の推進が最も建設的だ。手数料値上げの代わりにサービス原価を低減し、負担総額を増やさないことが狙いだ。観点を変えれば、メインバンクたる地域金融機関にとって、経営アドバイスに軸足を置いた新たなビジネスモデルの機会になりうる。目先の課題であるデジタル化支援は言うまでもなく、企業分析に準じた財政診断とこれを踏まえた経営アドバイスは、サービスと対価の等価交換に示される対等なパートナーシップ関係が前提となるからだ。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地方銀行の越境再編
その土台にある地域経済圏の再構築
2025年07月11日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)
ステーブルコインの概要と現況
2025年05月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日