2020年10月21日
サマリー
2019 年度の金融業界(メガバンク、地域銀行(地銀)、生命保険会社(生保)、損害保険会社(損保)、証券会社)の決算説明会および中期経営計画の資料を概観すると、現状のビジネスモデルに対する厳しい表現が増えている。それもビジネスモデルの中核である本業を、“ 事業リスク対比で収益性が低く構造的な問題を抱える事業” として捉えているように記述している各金融業態を代表する大手金融機関の存在がこれまで以上に目立つ。
特に銀行業界では決済を中心に新規参入者への規制が緩和される中で、大手を中心に“ 脱本業” の動きが活発化している。本稿での“ 脱本業” とは、1)既存のビジネスモデル(本業)における非コアからの“ 脱却”(アウトソース)と、2)本業以外の業態・業種への業務範囲の拡大の二つを意味する。金融グループを統括する中核会社、持株会社を中心にして、本業のリスク管理を有効に働かせながら、中長期的に改革の流れを経営努力によって生み出す必要がある。これまでの延長線上では想定できないような不透明な事業環境を生き抜くために、金融機関の経営者は“ 脱本業” の現実味を高めるぐらいの覚悟を持って本業の改革を進める体制を喫緊に構築する必要があるのではないか。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)
ステーブルコインの概要と現況
2025年05月19日
-
日本のウェルス・アセットマネジメントビジネスの方向性
~米欧と同じ付加価値を追求しているか~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日