2018年07月13日
サマリー
◆リーマン・ショック後10年間を振り返ると、金融規制強化、異次元の金融緩和政策、FinTech企業の台頭など、米国の大手金融機関を取り巻く事業環境は大きく変化してきた。ただし、厳しい事業環境の中で、収益性の指標を見ると、他国の大手金融機関と比較して、米国の大手金融機関の稼ぐ力の劣化は相対的に緩やかであったと言えよう。
◆他方で、5月初旬に米国で行った現地調査では、プラットフォーマーによるニューエコノミーがさらに浸透し、ミレニアル世代がコア顧客となる将来において、米国の大手金融機関が現在のビジネスモデルで稼ぐ力を維持し続けることができるか楽観視できない状況を垣間見ることができた。
◆米国大手金融機関は将来に向けて稼ぐ力を強化していく必要に迫られており、中長期的な課題を見据えて、個別金融機関の戦略に各々の特色が出始めている。今後、米国の大手金融機関の稼ぐ力に影響を最も与えるのは、規制や顧客との接点において、“人からテクノロジーへのシフトの仕方とタイミング”にあると結論づけられる。
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