2017年06月26日
サマリー
◆2016年度の国内銀行の貸出は、不動産業を中心とした非製造業向けの貸出、個人向けの貸出の伸びの高まりが目立った。
◆貸出増加の3割を不動産業向け貸出が占めた。不動産業は日銀短観の業況判断DIが高水準であり、生産・営業用設備判断DIが不足超過に偏っており、資金需要が増加している。また、個人向け貸出のうち、消費者ローン、住宅ローン等向け共に伸びが高い。
◆非製造業向け貸出の中でもリース業(物品賃貸業)向け貸出の伸びも高く、中小企業を中心とした設備投資意欲の改善と整合的である。また、貸金業向けの貸出の高い伸びは、個人向けカードローンの増加を反映しているとみられる。
◆2016年度の国内銀行の預金は、定期性預金が減少し、要求払い預金が増加するなど、預金のシフトが生じた。また、都市銀行において金融機関預金が増えており、マイナス金利の回避を目的に、地域金融機関などの余資が一部、都市銀行に預けられたとみられる。
◆不動産向けの貸出増加を背景に、不良債権化を懸念した日銀・金融庁が実態調査を始めた。経済成長に貢献できる貸出の増加が望まれるものの、銀行の余資が金融機関預金として積み上がっている面を考えると、リスクを抱えていても資金需要のある先へ貸出が流れる可能性が今後もあるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)
ステーブルコインの概要と現況
2025年05月19日
-
日本のウェルス・アセットマネジメントビジネスの方向性
~米欧と同じ付加価値を追求しているか~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日