2013年06月12日
サマリー
◆本稿では、生命保険会社や損害保険会社と同じ保険商品を取り扱う「制度共済」の資産運用と、それを取り巻く現状と課題について整理する。
◆「制度共済」とは、農協、漁協、全労済、都道府県民共済、生協等が運営する共済のことであり、生命保険会社と損害保険会社のそれぞれが提供する生命保険商品と損害保険商品に類似する共済商品を提供している。一般消費者からは、「制度共済」と生命保険会社や損害保険会社等の間には、実質的相違はさほど見当たりにくい。だが、制度面では、5つの相違点があげられる。第一に所管する監督官庁、第二にセーフティーネット組織への資金拠出の有無、第三に適用される法人税率、第四に販売可能な保険商品、第五に営利目的の有無である。
◆「制度共済」の運用資産をみると、国債、地方債、社債等の公社債が大半を占めている。特に、国債については、残存期間が10年超の国債が大半を占めている状況である。一方で、株式の総運用資産に占める比率は、生損保に比べると低い水準にとどまっている。こうした資産構成をもたらしている背景は3つあげられる。第一に「制度共済」の事業の性格、第二に「制度共済」が提供する共済の商品性、第三に法令等の規制である。
◆「制度共済」は2つの課題に直面しつつある。第一に、通商の国際的潮流が「制度共済」に変化をもたらしつつあることである。第二に、こうした状況の中で、日銀の「量的・質的金融緩和政策」に伴い、国債等公社債を中心とした運用のあり方に変化がもたらされる可能性があることである。こうした内外の課題に鑑みると、「制度共済」は転機を迎えつつあると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米国の生命保険会社の資産運用の現状と課題
国際的規制強化の潮流が米国生保の資産運用にもたらしつつある影響
2013年08月28日
-
生命保険会社の資産運用の現状と課題
国際的な規制強化の潮流と「量的・質的金融緩和」が生保の資産運用にもたらしつつある影響
2013年07月12日
同じカテゴリの最新レポート
-
金融分野におけるAI規制の在り方
「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」の要点と国際比較
2026年04月15日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第6回 セキュリティトークンの未来
流動性の改善、裏付け資産の拡大等への期待
2026年04月02日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第5回 社債セキュリティトークンとは?(後半)
社債セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年03月27日
最新のレポート・コラム
-
令和8年金商法等改正法案 暗号資産制度の改正案
一定の基準を満たない暗号資産の取扱い禁止など、金融審では言及がなかった規定も
2026年04月20日
-
民法(成年後見等関係)等改正要綱案の概要
柔軟化と利用促進に向けた主要な変更点の解説
2026年04月20日
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響
原油・天然ガス・石炭価格の10%上昇は物価を最大約0.3%押し上げ
2026年04月17日
-
「発明から普及まで5年」の時代に、私たちは適応できているか
2026年04月20日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

