Sovereign Wealth Fundの訳語であり、他に国富ファンド、国家ファンドなどとも言われる。また、頭文字をとってSWFと略されて表記されることも多い。IMF(国際通貨基金)では、政府系ファンドの規制原則を策定するために、政府系ファンド国際ワーキンググループを設けて検討を進め、2008年10月にサンチャゴ原則(※1)と呼ばれる合意を形成した。この中で、政府系ファンドは概略次のように定義されている。
1950年代には、中東でコモディティ(原油)の売却収入を原資とする政府系ファンドが作られたが、近年は中国や韓国のように外貨準備を原資として組成されるものも増えており、サンチャゴ原則の定義ではそのようなものも包含するものとなっている。
政府系ファンドは、各国の政府が所有するものであるから特別な上部組織は無いが、政府系ファンド国際ワーキンググループは、政府系ファンド国際フォーラム(The International Forum of Sovereign Wealth Funds、以下IFSWF)を設立しており、投資国である政府系ファンドと投資受け入れ国の間の交流の場としている。
IFSWFのメンバー国は24である(※2)が、他にオブザーバー参加の国々もある。また、IFSWFに名を連ねていないが、政府系ファンドをすでに所有したり、現在設立を検討したりしている国々もある。
(※1)「Sovereign wealth funds Generally Accepted Principles and Practices “Santiago Principles”」(2008年10月)
(※2)オーストラリア、アゼルバイジャン、バーレーン、ボツワナ、カナダ、チリ、中国、赤道ギニア、イラン、アイルランド、韓国、クエート、リビア、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ノルウエー、カタール、ロシア、シンガポール、東ティモール、トリニダード・トバゴ、アラブ首長国連邦、アメリカ合衆国
(2012年10月1日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ソブリン・ウェルス・ファンドはどこに行く
2008年05月26日
-
外国人投資家への保有規制をどう見るか
2008年08月25日
-
IMFが政府系ファンドの規制原則策定
政府系ファンドに投資目的等の開示を求めるルール
2008年10月14日
-
政府系ファンドが株主になる日
2009年02月26日
-
政府系ファンドの規制原則は機能しているか?
2011年07月19日
-
設立ラッシュの続く政府系ファンド
2012年01月25日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日