顕在化した地政学リスクと政治リスクが機関投資家の脱炭素の取り組みに与えた影響

アセットマネージャーとアセットオーナーへの影響の違い

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サマリー

◆2015年以降、投資においてどのように気候リスクを考慮するか議論が活発に行われるようになり、政策的にも脱炭素社会の実現に向けた資金シフトが推進されてきた。2021年には、金融に関わる全ての機関が協調して脱炭素の実現に取り組むため、GFANZ(グラスゴー金融同盟)が発足した。

◆機関投資家は投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量の削減に取り組む動きを加速させてきた。しかし、2022年に起きたロシアのウクライナ侵攻や、米国の複数の州政府によるアンチESGの動きなどを受け、一部のアセットマネージャー(資産運用会社)の姿勢に変化が生じている。

◆一方、年金基金や保険会社などアセットオーナーにおいて、脱炭素社会に向けた取り組み方針の変更等を打ち出す動きは見受けられない。アセットオーナーは中長期的な視野で投資をしていることに加え、ユニバーサル・オーナーとして投資判断をする必要があるためと考えられる。

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