2022年07月20日
サマリー
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、ESG投資のあり方が問われている。主な論点は①ESG投資でのロシア資産保有をどう考えるべきか、②今回の軍事侵攻はグリーンファイナンスへの逆風となるか、③ESG投資における兵器(防衛産業)の取り扱いを変えるべきか、④紛争地域での人権侵害を考慮した投資はどうあるべきか、の4点である。
例えば今回の軍事侵攻は脱炭素社会への移行プロセスに影響を与え、ESG投資の目的そのものを改めて問うきっかけとなっている。一方で、人権やガバナンスの観点では、ESG投資の重要性が改めて認識された。国内投資家、金融機関においては、今回の件をESGの観点で捉え対応する動きはあまり見られないが、地政学リスクがESG投資のあり方や評価に影響を与えることが明らかになった今、対応方針を検討しておくことが必要だろう。投資対象となる事業会社においては、地政学リスクが業績に与える影響だけでなく、自社のビジネスを通じて人権侵害等を助長しないかといった点を考慮した事業の停止・撤退の判断やそれに伴う情報開示が求められる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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