2020年07月27日
サマリー
◆気候変動に関連する物理的リスクや移行リスクは様々な経路を通じて金融システムに影響を及ぼすと考えられている。2020年1月にBIS(国際決済銀行)が公表したレポート「グリーンスワン」は、こうした気候関連リスクはブラックスワン(事前に発生の予測が困難であるが、発生時の影響が極端に大きい事象)的な金融危機を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。
◆こうした中、欧州を中心に、中央銀行や金融監督当局(以下、金融当局)はストレステストに気候関連リスクシナリオを取り入れ始めている。そこで、「金融当局による気候関連ストレステスト」レポートシリーズにおいて、各国の金融当局による気候関連ストレステストの結果や実施に向けた取り組みについて紹介する。
◆シリーズ第1弾では、2018年10月に公表されたオランダ銀行の気候関連ストレステストの結果を紹介する。オランダ銀行は国内の銀行、保険会社、年金基金を対象にトップダウン・アプローチに基づくマクロ・ストレステストを実施した。テストの結果を受けて、オランダ銀行は気候関連リスクが金融機関にもたらす財務上の損失は小さくないものの、金融監督上の比率に対する影響はマネジメント可能であると結論づけた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
VCが社会的インパクト投資において期待される理由とは
社会的インパクト投資はプライベート投資を中心に広がる
2020年05月01日
-
四半期金融レポート2020年4月号
①新型コロナウイルスの感染拡大と住宅ローンのリスク②ECBによる気候関連リスクへの対応③2020年代の地域別人口動態と保険ニーズ
2020年04月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
東証が求めるIR体制の整備に必要な視点
財務情報とサステナビリティ情報を統合的に伝える体制の整備を
2025年04月28日
-
サステナビリティ課題への関心の低下で懸念されるシステムレベルリスク
サステナビリティ課題と金融、経済の相互関係
2025年04月21日
-
削減貢献量は低炭素ソリューションの優位性を訴求するための有用な指標となるか
注目されるWBCSDのガイダンスを踏まえて
2025年04月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日