進むEUサステナブル・ファイナンスの制度改正

『大和総研調査季報』 2020年新春号(Vol.37)掲載

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  • 吉井 一洋
  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光
  • 金融調査部 研究員 藤野 大輝

サマリー

パリ協定達成のため、EUではサステナブル・ファイナンスの促進に向けた行動計画が策定され、それに沿った制度の見直しが推進されている。
投資先の事業が環境的にサステナブルか否かの判断の基準となるタクソノミーの設定が注目される。まずは気候変動の緩和、気候変動への適応のタクソノミーの採択を目指している。金融機関等は欧州で提供する金融商品が環境的にサステナブルか否かをタクソノミーに沿って判断し開示しなければならない。わが国の企業がEUで資金調達をする場合は、影響を受ける。EUグリーンボンド基準やベンチマーク開発、機関投資家・金融機関の開示義務、金融機関のリスク管理や自己資本比率規制での取り扱い、企業のESG関連情報の開示拡充と会計基準の見直しなどもテーマとして挙げられている。
開示に関して、欧州の関係者にヒアリングをしたところ、ESG情報の開示拡充にポジティブな姿勢や株主のみならず株主以外のステークホルダーを重視する傾向が進みつつある旨がうかがわれた。
EUのサステナブル・ファイナンスをめぐる制度改正は今後も続き、わが国にも影響を与え得る。今後の動きを注視していく必要がある。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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