信用格付とESG格付におけるESG要素の違い

ESGの機会・リスクの発生確率(確度)が両者の差

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2019年10月03日

  • 田中 大介

サマリー

◆信用格付は、発行体の信用リスクが反映されたものであり、発生する確率(確度)が比較的高い事象、またはその事象に係る発行体の機会・リスクが考慮されている。そのため、ESG要素のうち、実施が明確になっている環境規制などの事象は格付評価に反映される可能性が高い。ただし、多くのESG要素に係る機会・リスクは財務情報等に比べれば確度が不透明であるため、信用格付の高さや格付の変更への影響は限定的だろう。

◆他方、ESG格付は、発行体に係る非財務情報等に基づいた評価である。ESG要素の多くは、長期的な視点から社会的課題の改善・解決を目指す志向を含んでおり、具体的な機会やリスクの確度は一般的には高くない。そのため、発行体に係る潜在的な機会・リスクが反映された格付とも考えられるが、確度にばらつきのある多様な要素で構成される格付であることに留意する必要があろう。

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