2017年03月01日
サマリー
2016年は、国際協調の枠組みの中で、中心的な役割を果たしてきた英米におけるポピュリズムの台頭の年とも言えよう。これら事象は国際協調の既存の枠組みを揺さぶる恐れがあり、金融システムの不安定化につながる要因になると懸念されている。特に、国際協調に最も進展が見られ、国際協調の“優等生”とも言える「パリ協定」への影響は大きいと考えられる。加えて、2007年~08年の金融危機後、G20と中央銀行が“気候変動要因”を金融システム不安定の要因として取り上げ、その対応を担うFSB(金融安定理事会)および民間主導のイニシアティブである気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD)への影響も懸念される。
TCFDでは、「2008年の金融危機の教訓は、多くの金融機関の脆弱かつ不透明なガバナンスとリスク管理によって資産価値のプライシングが機能不全に陥っていたことである。これが投資家の資産のミスアロケーションにつながり、金融危機を引き起こした一因とされている。化石燃料関連等の気候変動リスク関連の資産も同様のリスク要因になる」と認識されている。
本稿では、Brexit、トランプ政権の誕生が、パリ協定自体に与える影響や、金融システム不安定化のリスクを軽減するTCFDの取り組みの現状と見通しについて論じる。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
SDGsの先を見据える
~企業・金融資本市場への含意~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
第6次男女共同参画基本計画にみる重要な展開と日本企業への示唆
男性の問題への注目、成果目標の引き上げ、AIリスクに対する懸念
2026年07月23日
-
気候関連開示を投資家は必要としているか?
米国気候関連開示規則廃止案を巡ってアカデミズムでも激しい論争
2026年07月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

