2017年03月01日
サマリー
2016年は、国際協調の枠組みの中で、中心的な役割を果たしてきた英米におけるポピュリズムの台頭の年とも言えよう。これら事象は国際協調の既存の枠組みを揺さぶる恐れがあり、金融システムの不安定化につながる要因になると懸念されている。特に、国際協調に最も進展が見られ、国際協調の“優等生”とも言える「パリ協定」への影響は大きいと考えられる。加えて、2007年~08年の金融危機後、G20と中央銀行が“気候変動要因”を金融システム不安定の要因として取り上げ、その対応を担うFSB(金融安定理事会)および民間主導のイニシアティブである気候関連財務ディスクロージャー・タスクフォース(TCFD)への影響も懸念される。
TCFDでは、「2008年の金融危機の教訓は、多くの金融機関の脆弱かつ不透明なガバナンスとリスク管理によって資産価値のプライシングが機能不全に陥っていたことである。これが投資家の資産のミスアロケーションにつながり、金融危機を引き起こした一因とされている。化石燃料関連等の気候変動リスク関連の資産も同様のリスク要因になる」と認識されている。
本稿では、Brexit、トランプ政権の誕生が、パリ協定自体に与える影響や、金融システム不安定化のリスクを軽減するTCFDの取り組みの現状と見通しについて論じる。

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