欧州の富裕層向け金融ビジネスに見るリテール金融の大きなうねり
~成長か規制か、なぜFinTechが重視されるのか?欧州に見るリテール金融の変革の芽と日本へのインプリケーション~ 『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載
2016年03月01日
サマリー
欧州二大国際金融センターであるイギリス・スイス間の競争が激化している。両国政府は、自国のウェルスマネジメント(WM)/プライベートバンキング(PB)(=富裕層向けビジネス)を中心とした国際金融セクターとしての競争力を高めることと同時に、グローバルな各種規制(資本規制、顧客保護規制、金融商品の組成・管理に対する規制、税の透明性に対する規制への対応が求められている。
アジアを中心とする新興国の資産形成が進展する中、グローバルでは富裕層向けを中心とする資産運用ビジネスは成長が見込まれているが、グローバルな規制が強化されていることから、同ビジネスのバリューチェーン上において付加価値の源泉となる部分は限られてきている。
消費者保護を中心とする金融ビジネスに対する規制の強化か、あるいは金融ビジネス自体の成長を促す“行き過ぎた”規制の緩和か、両国政府の成長と規制のバランスのとり方が非常に難しい状況にある。
本稿では上記を踏まえ、今後のグローバル富裕層向け金融ビジネスの方向性および日本の同ビジネスの方向性を示唆する。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
生成AI時代の人的資本経営と働き方の未来
『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
GPIFのESG指数投資削減に求められる説明責任
投資先企業の信任を失えば「市場の持続可能性向上」は実現不可能
2025年10月16日
-
デジタルMRVが変えるカーボンクレジットの品質評価
炭素価値と非炭素価値を統合する、多面的な品質評価の必要性
2025年10月15日
最新のレポート・コラム
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
純債務って何?高市総理が目指す財政指標の意味
2025年10月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

