2014年12月01日
サマリー
2015年6月の株主総会シーズンからの適用を目指して、コーポレートガバナンス・コードの検討が進められている。内容は今後の検討に委ねられるが、これまでの政策提言等からは、社外取締役の増員や機能の強化が盛り込まれる可能性が高いように思われる。
コーポレート・ガバナンスに関する改革は、大きな企業スキャンダルの後に行われることが多い。米国のエンロン事件等の後は、ニューヨーク証券取引所の上場規則等の改正によって、上場企業の社外取締役の増員や機能の強化を促されることとなった。米国における社外取締役中心のコーポレート・ガバナンスは、こうした企業スキャンダルへの弥縫策として進んだとみることもできる。
しかし、リーマン・ショック後に米国で制定されたドッド=フランク法は、社外取締役の役割を拡大するというよりは、株主による直接的なコーポレート・ガバナンスに道を開いているとみることもできる。この点、わが国では株主総会の権限が強く、ドッド=フランク法が意図した株主の権利拡大は、既に実現されているといえよう。
コーポレート・ガバナンスに関する他国の取り組みを参考にしつつも、わが国の企業が抱える問題点を特定し、それに合った改善策を検討することが期待される。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ガバナンス・コードによる社外取締役増員
コーポレートガバナンス・コードにより2名以上の選任が求められる
2014年12月02日
-
2年目のコーポレートガバナンス・コード
記載の充実を期待されるガバナンス報告書
2016年03月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
EUサステナ開示規制の域外適用見直しへ
米国とEUは関税合意の一部としてサステナ開示の域外適用を見直す
2025年09月12日
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
-
サステナビリティWGの中間論点整理の公表
2027年3月期から順に有価証券報告書でのサステナビリティ開示拡充
2025年07月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日