2013年05月21日
サマリー
2013年5月17日に発表された(※1)2013年2月末時点の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」による設備認定状況をみると、相変わらず太陽光発電が多い(運転開始した設備容量も認定を受けた設備容量も93%以上が太陽光発電)。一方、小水力発電は、調査開始などの報道が全国各地で見聞きされるものの、実際に運転が開始された例はまだ少ない。これは、小水力発電の運転開始までの期間が風力発電や地熱発電に比べれば短いものの、太陽光発電のように数ヶ月で設置できるわけではないためである。
そうした中、既存の水力発電所の維持流量を活用した小水力発電の運転開始や計画が相次いでいる(図表)。維持流量とは、「下流河川の自然環境,水利使用および漁業等に支障を与えないよう必要な流量を優先して放流(※2)」している水なので、発電に使われていなかった水力を活用することになる。
小水力発電は設備利用率が高く、太陽光発電の約12%に対して5倍の60%程度はあるといわれている。このため、例えば200kWの設備容量でも、メガソーラー(1,000kW=1MW)と同程度の発電が期待できる(※3)。また、既存の設備のそばに小規模な設備を設置するので、新たに土地開発をするような環境負荷は与えないといえよう。再生可能エネルギーについては、新規設備の導入が注目されがちだが、こうした既存設備の未利用エネルギーを活用する方法も忘れてはならないだろう。

参考レポート:地銀協月報 2012年11月号 pp.38-43 小黒由貴子「自然エネルギーの可能性 第3回 ~小水力発電がもたらす恵み」
(※1)経済産業省 ニュースリリース 平成25年5月17日(金) 「再生可能エネルギー発電設備の導入状況を公表します」
(※2)中国電力 プレスリリース 平成25年4月10日 「高野発電所の営業運転開始について」
(※3)小水力発電(200kW)の設備利用率を60%、太陽光発電(1,000kW)の設備利用率を12%として発電量を計算すると、小水力発電は「200kW×24時間×60%=2,880kWh」、太陽光発電は「1,000kW×24時間×12%=2,880kWh」となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
生物多様性条約第17回締約国会議の注目点
初回グローバルレビューで問われる、目標達成への道筋
2026年10月09日
-
防衛関連の投融資に関する欧州の議論
日本の金融機関・投資家への示唆
2026年10月01日
-
男らしさに蝕まれる男性の健康
英国初・男性の健康課題に対応する10年戦略の示唆を読み解く
2026年09月29日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

