2011年12月09日
サマリー
2011年11月19日、20日に、富山県黒部市において第2回全国小水力発電サミットが開催された 。小水力発電の普及には自治体等の地域主体の役割が重要だとして、自治体、農業関係者、学識経験者、企業等を集めて普及促進を図ることを目的としている。第2回のサミットでは、農業用水を活用した富山県の事例や他の自治体の事例の他に、企業の技術、高校生による取り組み等も発表された。参加者は、初日が670人、2日目の午前中が約500人、午後が約300人と、第1回を上回った。
小水力発電は、3月11日の東日本大震災以降、地域密着型の再生可能エネルギーとして注目されている。日本の小水力発電は、2011年8月31日現在(※1)、504件、210,763kWである(RPS法(※2)で認定された水力発電(※3))。ただし余剰電力固定価格買取制度の影響で前年比32.6%増の太陽光発電に比べ、今のところ小水力発電の供給量は増加の兆しは見られない(図表1)。
図表1 発電総量と再生可能エネルギー電力供給全体における比率
(注)社団法人電力土木技術協会公表のデータベースから、1万kW以下の水路式でかつ流れ込み式あるいは調整池方式のものと、RPS法の対象設備(1,000kW未満)を集計した値。
(出所)千葉大学倉坂研究室+NPO法人環境エネルギー政策研究所 『「エネルギー永続地帯」2011年版試算結果(速報版)』をもとに大和総研作成
小水力発電所の建設には、一定期間の流量把握や土木工事が伴う等、時間がかかる。また河川法(水利権)等の規制と設置手続きの煩雑さや、成熟技術であるがゆえのコストダウンの難しさ、保守にかかる手間等もある。なお規制については、緩和に向けた検討が始まっている。また農地の整備や農業水路の維持管理を行っている土地改良区では、農業水路や既存の砂防ダムを利用した小水力発電への関心が高まっており、水利権の調整等について合意形成しやすくなっているともいわれている。
コスト面では、農林水産省や経済産業省のほか、地方自治体の助成がある。2012年度には「再生可能エネルギー特別措置法」に基づく「固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT)」が始まるため、普及への一助となると期待されている。小水力発電は電力供給量が小さいため、域内の施設等で消費される等、地産地消が実践されていることも多い。こうしたことから「我が町・我が村の発電所」として、市民ファンドを活用した事例も出てきている。2010年10月に第1回全国小水力発電サミットが開催された山梨県都留市では、市の小水力発電施設を設置するため、1号機では事業費の約4割となる1,700万円(※4)を、2号機でも3割強となる約2,400万円(※5)を市民参加型ミニ公募債(つるのおんがえし債)で調達した。また富山県では、小水力発電事業として市民から出資を募った「おひさまファンド」(※6)も出ている。初期投資費用の7割弱に当たる8億円弱に対して、富山県内外から530人余りの応募があり、目標を達成した(※7)。さらに落差の少ない1~2m幅の水路等に設置可能な流水利用型の小型機械の開発も進んでおり、従来の落差利用型発電法と比べると、発電効率は下がるものの安価で設置が容易なことから、導入のハードルを下げる期待がある。
環境省の「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」から、中小水力発電(設備容量30,000kW未満)の導入ポテンシャル(※8)の大きい県を示したのが図表2である。岐阜県は、全国小水力発電サミットの次回の開催地でもある。まずは、こうしたポテンシャルの大きい地域の事例が増えることが、日本全国での普及の後押しになると期待される。
図表2 中小水力発電の導入ポテンシャルの大きい県
(出所)環境省「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」をもとに大和総研作成
(※1)http://www.rps.go.jp/RPS/new-contents/top/joholink-nintei.html(2011年11月17日閲覧)
(※2)新エネルギー等の普及のための「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」に基づき、電気事業者に対して、一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付けているのがRenewables Portfolio Standard:RPS法。
(※3)RPS法では「1000kW以下のものであって、水路式の発電及びダム式の従属発電」。定義はいろいろあり、環境省では、出力10,000kW~30,000kW以下を中小水力、100kW~10,000kWを小水力等と呼ぶこともあるとしている。 「小水力発電情報サイト」
(※4)http://www.city.tsuru.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=18144
(※5)全国小水力利用推進協議会「小水力発電事例集 2009・2010」
(※6)立山アルプス小水力発電事業
(※7)http://www.ohisama-fund.jp/weblog/2011/11/post_126.html
(※8)「エネルギーの採取・利用に関する種々の制約要因による設置の可否を考慮したエネルギー資源量」のこと。環境省「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」より。
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