1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. 金融資本市場分析
  4. ESG投資
  5. 海洋エネルギー開発の動き

海洋エネルギー開発の動き

2012年11月16日

サマリー

2012年11月初旬に開催された独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自然エネルギー成果報告シンポジウム2012」では、風力発電や熱利用計測技術の他に、海洋エネルギーの開発状況についても報告された。

2012年5月11日付けESGニュースで紹介したように、NEDOでは海洋エネルギーについて、波力発電は3種類、潮流発電・海流発電・海洋温度差発電は各1種類ずつと、計6つのプロジェクトが同時進行している(図表1)。期間は平成23年度から平成27年度の5年間である。海洋エネルギー発電システム実証研究は実海域における実証研究を、次世代海洋エネルギー発電技術研究開発は発電性能や信頼性の向上等に関する要素技術の研究開発を目的としている。現在は、前者が水槽内や試作機の実験段階で、今後、実海域での実験を計画していること、後者が素材開発等の段階であること等が発表された。

図表1 海洋エネルギー技術研究開発 概要
図表1 海洋エネルギー技術研究開発 概要
(出所)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO自然エネルギー成果報告シンポジウム2012—風力・熱エネルギー・海洋エネルギー—」(平成24年11月5日、6日)等を基に大和総研作成

さらにNEDOでは追加公募を行っており、2012年9月に4つのプロジェクトが採択された(図表2)。「海洋エネルギー発電システム実証研究」では平成27年度に発電コスト40円/kWh以下、「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発」では平成32年に20円/kWhの実現を目指している。

図表2 海洋エネルギー技術研究開発 追加公募
図表2 海洋エネルギー技術研究開発 追加公募
(出所)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「『風力等自然エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発』追加公募に係る実施体制の決定について」(平成24年9月28日)を基に大和総研作成

NEDOのプロジェクトは、コスト低減、発電効率向上、大型化、台風等過酷な環境での運用等、実用化のための技術的な課題の解決を目指しているものだが、実際に設備を設置・運用するにあたっては、漁業等、地域産業や住民との合意も必要となる。そのため地元の理解を得る「社会的受容性」を研究テーマの一つとしているものもある。


この「社会的受容性」に主眼を置いた検討もNEDOで始まる。2012年11月1日に、「地域協調型海洋再生可能エネルギー利用に関する検討」を行う委託先が、株式会社東洋設計と国際航業株式会社に決定された。以下の項目の調査と取りまとめを行い、有識者による委員会を設置して調査内容を検討するとしている。
 a.漁業生物整理(魚類「回遊魚・根魚」・甲殻類・貝類・海藻等)
 b.国内で操業されている漁業・その他の海域利用者(海運業等)の業態調査
 c.地域協調型海洋再生可能エネルギーの検討
 d.地域型電力消費産業誘致可能性の検討
 e.地域協調型モデルケースの検討
 f.その他(地域協調型海洋再生可能エネルギーの課題を抽出、取りまとめ)


地熱発電や風力発電では、地域産業や住民の反発から導入が進まない例がある。過去には、地域産業・住民の懸念や要望に注意を払わない例もあった。こうした例が「しこり」となっているからか、導入を推進する側が意を尽くして説明していても、地域産業・住民側はそう受け止めていないと思われる例もある。理解・合意を得るには時間も手間もかかるが、理解・合意が得られないまま再生可能エネルギーを導入しても、地域では活用されないだろう。海洋エネルギーにおける社会的受容性に関する取り組みは、他の再生可能エネルギー導入にも参考になると期待している。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

執筆者のおすすめレポート