大和のクリプトナビ No.4 ビットコインは「デジタル・ゴールド」か?

一定の妥当性はあるが脆弱性が残る。制度の整備や需要の多様化が鍵

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  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人
  • 金融調査部 研究員 森 駿介

サマリー

◆ビットコインを「デジタル・ゴールド」とみなす見方には、希少性と安全性という資産特性に照らせば一定の妥当性がある。発行総量は上限で制御され、改ざんに強い仕組みがある点で、他の投機対象とは異なる特性を備えている。

◆ただし、希少性や安全性だけでは投資の対象資産にはなりえない。本質的に重要なのは「需要」と、それを支える制度やインフラである。金(ゴールド)の場合、長い歴史の中で通貨や準備資産として制度的に裏付けられ、その後も多様な需要によって価値に対する市場の合意が形成され、投資対象としての資産の地位を保ってきた。他方、ビットコインは関連する制度の整備が必ずしも十分でない中で投資需要が旺盛となり、それが高いボラティリティや「バブル」懸念につながっている。

◆一方で、暗号資産に関する制度の整備やETFの承認などにより、機関投資家を始めとした多くの投資家層の参入、あるいは実需の拡大などによる需要の多様化が進展すれば、ビットコインの価値構造はより強固になり、デジタル・ゴールドとしての地位は安定していく可能性がある。

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