DCにおける指定運用方法の現状と課題

事業主に導入を促し、投信の選定を後押しする制度整備が求められる

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サマリー

◆確定拠出年金(DC)は、加入者自身が運用指図をして資産を運用することが原則だが、それが困難な加入者が存在する。全ての加入者が長期分散投資を実践できるように支援することは、高齢期の貧困防止の観点からも重要な政策課題である。

◆2018年5月に始まった改正DC法に基づく指定運用方法は、労使合意の下でそれを導入すれば、運用指図をしないDC加入者の資産を、あらかじめ指定された運用商品で自動的に運用できる仕組みである。法改正前も法令解釈通知に基づいてデフォルト商品による運用方法を設定できたが、法令上の位置づけや事業主の責務等が明確化された。

◆2020年度で、企業型DCを導入する事業主の約4割が指定運用方法を活用しているが、活用していない事業主では未指図者が生じるため、その導入を促す必要がある。それに際しては、指定運用方法を導入する事業主の負担軽減になるような情報提供が重要だ。

◆また、指定運用方法を導入している場合も元本確保型商品を選定している割合が依然として高く、バランス型投信などの選定を推進する必要がある。長期積立分散投資を支援する制度であるつみたてNISAに倣って指定運用方法に適切な運用商品は認可制とし、労使がその中から選択すれば事業主は運用結果の責任を負わないという免責条項を付すなどの検討が求められよう。

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