サマリー
◆本稿では、近年重要性が指摘される家計の海外金融資産投資の現状を分析し、今後の展望を探る。
◆家計の海外金融資産運用シェアを推計すると、近年は横ばいが続いていることが確認された。また、家計が保有する海外金融資産残高の増加ペースも鈍く、特に投資信託経由での海外金融資産残高がリーマン・ショック前の水準を回復していない。投資信託経由での海外金融資産残高の内訳を確認すると、これまでは外国債券残高の減少に外国株式残高の増加が追い付いていなかった。
◆追加型株式投信の資金フローを確認すると、「国際債券型」は近年資金純流出の傾向にある。その一方で「国際株式型」は資金純流入の傾向にある。特に2019年以降に「国際株式型」のパッシブファンドへの資金純流入が安定して増加している点が注目され、その背景には長期目線での資産形成を志向する層の資金流入があるとみられる。
◆年齢別の投資信託保有状況をアンケート調査で見ると、若年層で外国株式の投資信託の保有率が大きく上昇している点が確認された。また、つみたてNISAにおける投資信託の保有状況を同じくアンケート調査で確認すると、外国株式の投資信託が最も高い保有率であり、近年投資に参入している資産形成層において投資の海外志向が強まっている可能性が窺える。
◆資産形成層(うち特に若年層)は金融資産保有額が少ないため、「海外志向」の高まりが家計全体の数値に反映されにくい面があるが、中長期的には「海外志向」が家計全体の数値に明確に表れてくる可能性がある。また、資産形成層の「投資参入」と「海外志向」が並行して進んでいると考えられるなか、低コストで国際分散投資を行えるファンドの存在感がより高まっていくとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新型コロナ下での家計金融資産の動向と2021年の展望
「つみたてNISA」の成功体験が家計の長期資産形成の追い風へ
2021年01月04日
-
家計の国際分散投資はどこまで進んでいるか
停滞する家計の「ホームバイアス」解消の現状と行方
2017年02月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
NISAを始められない若者をどう支えるか
若年層の資産形成の開始・継続の支援、地域連携と金融機関の役割
2026年10月22日
-
こどもNISAをどう活用するか
リスクを考慮した世帯としての現実的な投資行動が肝要
2026年10月20日
最新のレポート・コラム
-
米中間選挙後の注目点①:「変わる政治」
民主党優勢で高まる政治の停滞と不確実性
2026年10月27日
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
日本版米国型AWMビジネスモデルを創出するための条件
~投資銀行型と商業銀行型の比較~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
次世代の「地域金融の課題と競争のあり方」
~最新データに基づく地域銀行の競争可能性の再試算~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
子どもが幼いうちは子育てに専念したい世帯にも目配りを
2026年10月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

