2021年07月21日
サマリー
資産運用会社の事業環境が構造的に変化しており、ビジネスモデルの変革が求められている。その変化の第一は、運用資産残高(AUM)が大幅に増加しているものの、歴史的な低金利環境下の中で、金融市場のボラティリティが高まり、資産運用会社のリスク管理の負担が増していることである。これに加えてフィデューシャリー・デューティ等への規制対応、ESGの要素を投資プラットフォームに統合するESGインテグレーションに対するコスト負担も増加している。第二の変化は、インデックス運用にシフトする傾向が強まることで、投資家によるアクティブ運用に対するバリューフォーマネー(支出に見合った付加価値)への疑念の高まりなどを背景に、報酬の低下圧力が高まっていることである。さらに第三の変化として、デジタルテクノロジーによる販売チャネルの多様化(製販分離の進展とロボアドバイザーの台頭)が挙げられる。これらの変化によってグローバルでは巨大なAUMの規模を持つ大手資産運用会社が、テクノロジー主導による投資プラットフォーム戦略と総合資産クラスを専門的に扱う戦略を採用してビジネスモデルを変革している。本稿では、上記の3つの欧米で見られる業界構造の変化の本格化を踏まえ、それに対応する日本の大手資産運用会社のビジネスモデルの方向性を示すこととする。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国401(k)プランにおけるターゲット・デート・ファンド導入の効果
若年層の株式比率上昇に伴う資産拡大と株式直接投資への波及効果
2025年08月13日
-
ISSが取締役兼務数基準の導入を検討
取締役の兼務が多すぎる場合、選任議案に反対投票推奨へ
2025年07月31日
-
大和のクリプトナビ No.3 ビットコインのポートフォリオ組入れ効果
GPIFの基本ポートフォリオをもとにした検証
2025年06月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日