2017年の家計金融資産動向の回顧

流動性預金や投資信託への資金流入の背景を探る

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2018年02月08日

サマリー

◆我が国の家計の金融資産の構成において、2016年あたりから流動性預金への資金流入幅が大きくなる一方、定期性預金、株式等から資金流出が生じていた。2017年は過去の株価上昇局面と比べて控えめながら、投資信託への資金流入も見られた。


◆流動性預金増加の背景としては、株式の売り越し分の滞留や金利低下に伴う定期性預金からの資金シフトが挙げられる。10年前と比べると、世帯主の年齢が低い階層の方が、預金全体に占める流動性預金の比率がおおむね上昇しており、「資産形成層」と言える現役世代で定期性預金から流動性預金への資金シフトがより生じている可能性がある。


◆公募投信の売買動向では、2017年は「国際株式型」への資金純流入が見られた。月次リターンと資金純流入の程度の間の関係を時系列分析した結果、月次リターンが高まると「国内株式型」では資金純流出が生じる一方、「国際株式型」ではやや遅れて資金純流入が生じる傾向にあることが分かった。


◆今後の家計資産動向を見る上で、2018年は、DCでのデフォルト商品設定に変化が見られるか、高等教育における新学習指導要領に金融教育が盛り込まれるか否か、改正宅建業法の施行を通じて既存住宅市場の流動性が高まるか、などが注目点だろう。

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