米国の家計金融資産の現状と経験

投資信託が米国家計に普及・浸透している要因

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2014年01月30日

  • 島津 洋隆

サマリー

◆2013年7-9月期の米国の資金循環統計(“Flow of Funds”<FRB>)によると、同年9月末における米国家計の金融資産残高は63.9兆ドルである。


◆米国家計の金融資産残高の構成を長期的にみると、4つの特徴点があげられる。第一に、総金融資産に占める現金・預金の残高ウェイトの低下。第二に、保険・年金準備金のウェイトが上昇していること。第三に、投資信託のウェイトが高まってきたこと。第四に、株式・出資金については実額ベースでは増加しているが、総金融資産に占めるウェイトは30%程度に低下していること。


◆フローベースでみると、米国家計は株式・出資金を売り越している。その一方で、投資信託は買い越している状況が過去十数年の間続いている。さらに、投資信託を保有する世帯数は全米世帯数の4割強に達している。


◆米国家計への投資信託の普及・浸透をもたらしたと考えられる要因として、①規制緩和要因、②税制要因、③販売チャネル多様化要因、④金融環境要因、⑤株式市場要因、⑥投資信託の信頼性醸成要因、⑦人口トレンド要因、があげられる。


◆我が国の家計における投資信託の普及・浸透について考える際には、米国における経験に、大いに参考になるところがあろう。今日の日本における状況は、米国において投資信託が普及・浸透した要因と重なるところもあり、日本における投資信託の普及・浸透への期待が高まっている。

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