香港のヘッジファンドの動向

著名ファンドが進出する一方で、閉鎖ファンドも多く、新陳代謝が激しい傾向

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  • 森 祐司
  • 伊藤 正晴

サマリー

◆香港のヘッジファンド業界は、2000年代以降の拡大が著しい。直近では香港証券先物取引委員会(SFC)に登録したヘッジファンド運用会社数は538(2010年9月末時)で、04年から5年連続で増加している。運用資産額も2008年の危機後には632億米ドルにまで達した。

◆香港のヘッジファンドは株式ロング・ショートやマルチ・ストラテジーが多く、運用資産額でも大きな比率を占める。投資先はアジア太平洋向けが多く、運用資産額の66.1%を占める。しかし、最も特徴的なのは、中華圏への投資比率が大きいことである。資金源としては、欧米の富裕層や金融機関からの資金が大半を占める。

◆香港のヘッジファンドは、アジア太平洋地域の経済成長による発展・拡大に牽引され、運用拠点としてはシンガポールと競争しつつ発展してきた。しかし、金融危機後においては、規模の小さなヘッジファンドの閉鎖がある一方、有名なファンドや大規模なファンドには資金が流入するなど、ファンド間の格差も指摘されている。今後の香港のヘッジファンド業界の拡大はファンドの新陳代謝を伴うダイナミックな展開が予想される。

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