2025年10月31日
サマリー
◆本レポートでは、2025年1~9月における日本企業の中期経営計画(以下、「中計」)の発表・修正動向を整理するとともに、米国・英国・ドイツの主要上場企業における中計開示状況とその背景を比較・分析した。
◆日本では、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現」の要請や「PBR改善計画の開示要請」を受け、2024年に中計発表件数が増加したが、2025年は経済環境の不透明化やローリング型中計の普及により減少に転じた。一方、ROE・ROICなどの資本収益性指標の導入比率は年々上昇し、企業価値向上に向けた経営管理ツールとして中計の質的進化が進んでいる。
◆欧米では、米国企業の中計開示はごく一部に限られる一方、英国・ドイツでは多くの企業が具体的な財務目標やESG関連目標を含む中計を積極的に開示している。こうした違いの背景には、法制度・規制環境、資本市場の構造、ESG情報開示制度など、各国固有の要因が複合的に作用している。
◆日本企業にとっては、グローバルな開示動向や投資家の期待を踏まえ、今後の中計策定・開示のあり方を一層高度化・充実させていくことが求められる。
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