中期経営計画の再考

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 神谷 孝

サマリー

◆中期経営計画(中計)の策定には、現場の疲弊、中期の市場環境予測の困難さ、中途半端な中計期間等の問題点が指摘されている。日本は「中期経営計画大国」とか、「中計病」とも揶揄される。策定自体が目的化されてしまうことも、中計策定の弊害と言われる要因の一つだ。

◆いくつかの弊害をそぎ落とせば、最後に残る中計の大きな役割は、中計目標である3~5年後のマイルストーンの見極めだ。そのマイルストーンが示す主要命題は、企業価値の向上である。このため、中計策定は最終的には全社課題と財務戦略・計画の検討に帰着していく。

◆こうした問題点を解消し、従来の中計という枠組みを自社に適合した経営計画のあり方へと再構築していく動きがみられる。その際、実行計画、中期のマイルストーン、ありたい姿の整合性を工夫することがポイントとなる。

◆投資家からの評価が不十分な企業の場合、数年後には資本市場の期待に応え得ることを示す意味から、中計の公表は重要な役割を果たす。一方、一定の評価を受けている企業であれば、中計という形に拘らず、自社への評価、信頼を高める方法を工夫して発信することが重要だ。

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