シリーズ 民間企業の農業参入を考える

第2回 異業種参入:持続的成長をもたらす戦略とは

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  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 林 正浩
  • 大和フード&アグリ株式会社 副部長 藤田 葵

サマリー

◆日本の農業経営体数は、2020年時点で約108万と過去15年で約半分となった一方、その内訳を見ると法人経営体の増加が目立つ。法人経営体は、2020年時点で3万1千経営体と過去15年で約6割増加して、農業生産額に占める割合は約4割超になっている。

◆会社形態による農業参入のルーツは明治期にさかのぼるが、当時は個人農業者の法人化によるものではなく、農外企業による事業開発の色合いが濃かった。

◆農業事業の収益化は容易ではなく、黒字確保が実現できた主体は全体の3割、そのうち参入時に立案した計画期間内に黒字化が実現できた主体は同2割に過ぎない。

◆農外企業の農業参入に関わる統一的な成功モデルは存在しない。しかし、①戦略的な視点を持ったバリューチェーンの構築・拡大、②生産と販売への等分のコミットメント、③エンジンとなるコアコンピタンスと農業事業のシナジー確保の3点が農業経営の基盤形成に際しての重要な論点と言えるであろう。

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