2025年03月11日
サマリー
◆日本の農業経営体数は、2020年時点で約108万と過去15年で約半分となった一方、その内訳を見ると法人経営体の増加が目立つ。法人経営体は、2020年時点で3万1千経営体と過去15年で約6割増加して、農業生産額に占める割合は約4割超になっている。
◆会社形態による農業参入のルーツは明治期にさかのぼるが、当時は個人農業者の法人化によるものではなく、農外企業による事業開発の色合いが濃かった。
◆農業事業の収益化は容易ではなく、黒字確保が実現できた主体は全体の3割、そのうち参入時に立案した計画期間内に黒字化が実現できた主体は同2割に過ぎない。
◆農外企業の農業参入に関わる統一的な成功モデルは存在しない。しかし、①戦略的な視点を持ったバリューチェーンの構築・拡大、②生産と販売への等分のコミットメント、③エンジンとなるコアコンピタンスと農業事業のシナジー確保の3点が農業経営の基盤形成に際しての重要な論点と言えるであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ROEの持続的向上のための資本規律の重要性
資本コストを真に意識した財務戦略への道
2025年05月02日
-
中期経営計画の構成形式に関する一考察
企業の状況や経営の考え方を反映した最適な選択を
2025年02月12日
-
シリーズ 民間企業の農業参入を考える
第1回 我が国の農業を取り巻く環境と金融機関の農業参入
2024年11月18日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
-
金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり
~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
企業の賃金設定行動の整理と先行きへの示唆
~生産性に応じた賃金決定の傾向が強まる可能性~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
「外国人優遇」は本当か?データで見る国民健康保険・国民年金の実態
2025年07月25日