シリーズ 横串組織の社会史 -1990年代編(1)-

歴史としての日産再生を紐解く

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  • マネジメントコンサルティング部 主席コンサルタント 林 正浩
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 野原 維月

サマリー

◆「おわりのはじまり」と「はじまりのはじまり」の2つの顔を持つ1990年代。経済も経営も外的・循環的な局面から内的・構造的な局面へと重心が移っていった。

◆民間企業における構造改革・リストラクチャリングの象徴である日産自動車のV字回復劇(1999~)は、ボトムアップアプローチを基調とする2つの戦略的駆動力、すなわち組織としての「CFT(クロス・ファンクショナル・チーム)」と仕組みとしての「V-upプログラム」により実効性が高まったとされる。本稿ではこの2つを紐解く過程で横串の本質をあぶり出していきたい。

◆「病巣は内部」の信念のもと、トップマネジメントが課題を適切に設定し、社員に分かりやすく伝えると同時に、構造改革に資する提案と実行を明確に分けて推進した点など、日産再生には今なお学ぶべき点が数多い。

◆一連の構造改革によって企画開発体制も大きく変貌をとげたが、本稿では商品である乗用車がどのように変わったのかにもあわせて注目することで多面的に日産再生を振り返っていきたい。

◆VUCAと呼ばれる今だからこそ、「内なる国際化」の推進をはじめ、クロス・ファンクショナルやクロス・カルチャーを強みとした組織デザインなど、日産再生のエッセンスを経営に活かすことは、多くのJTC(伝統的日本企業)に求められるのではないだろうか。

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