2018年06月27日
サマリー
◆第5次エネルギー基本計画(案)では、2030年のエネルギーミックス達成に向けた取組強化が示されている。再生可能エネルギーは、FITにより急速に普及が進んだが、賦課金による需要家のコスト負担を考慮すると、今後は厳しい状況が予想される。そのなかで、2018年5月、非化石価値取引市場が創設され、FITで買取られた電気の「環境価値」を売却し、売却益を賦課金に還元する仕組みができた。
◆2015年パリ協定合意を契機に、企業の気候変動に関する情報開示を求める動きが活発化している。FSBのタスクフォース(TCFD)は、2017年6月、気候関連財務情報開示の枠組みに関する最終提言書を提示した。
◆再生可能エネルギーの活用は、企業の気候変動対応の1つの重要な手段となり得る。新市場の創設は、日本企業による再生可能エネルギーへのアクセシビリティを高める。日本はこれまで、政府主導のFITにより、供給側の視点で“普及拡大”を進めてきた。新市場の創設により、社会的要請に応える形で、需要家による“活用拡大”が進み、それがまた、更なる普及拡大に向かう好循環に繫がることを期待したい。
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