2017年12月01日
サマリー
気候変動問題への対応が重要な政策課題となる中、資本市場においてもこの問題への関心の高まりが見られる。欧米を中心に広がる気候変動問題に関する機関投資家の動きを背景に、G20財務相・中央銀行総裁会議は2015年、金融安定理事会(FSB)に対して、金融セクターが気候変動問題をどう考慮すべきかを検討するよう要請。FSBは2015年末、民間有識者による「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)を設置して検討を開始、2017年6月末に最終報告書を公表した。同報告書は、現状の気候変動関連のリスクや機会の開示のみでなく、フォワード・ルッキングな視点から2℃シナリオ(工業化以前からの世界の平均気温上昇を2℃未満にする経路)に代表されるような大幅な温室効果ガス排出量の削減が必要なシナリオに基づく影響評価を企業に奨励している。
本稿では、気候変動をめぐる投資家動向を整理し、TCFDの報告書のポイントを解説した上で、グローバル1,100社の情報開示の現状を調査する。TCFDが求めるものと現状とのギャップ、日本企業の情報開示の現状を探り、日本企業に今後、何が求められるのかを考察する。

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