直近のMBOによる株式非公開化トレンド

事例比較による公正性担保措置の実務ポイント

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  • コーポレート・アドバイザリー部 主席コンサルタント 吉田 信之
  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 坂本 隼一
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 鵜飼 祐太
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 杉本 亜門

サマリー

◆近年、日本の上場企業におけるマネジメント・バイアウト(MBO)は、コロナ禍以降の経営環境の変化、東京証券取引所(東証)改革、アクティビスト対応、資本効率改善要請などを背景として増加している。特に2024年以降は大型MBOが相次いで公表され、中小規模の企業だけでなく大規模企業にとってもMBOは資本政策上の重要な選択肢として定着しつつある。

◆本稿では、2025年6月から11月までの半年間に公表された株式非公開化を伴うMBO案件(16件)を対象として、その特徴や傾向、実務上の論点を整理した。対象16件のうち、2026年1月16日時点で12件が成立、2件が不成立、2件がTOB期間延長中である。

◆TOBプレミアムの平均は約47%(TOB価格引き上げ前39.3%、引き上げ後46.7%)。TOBプレミアムが45~50%と高水準の事例が存在する一方で、そうであったとしてもTOB価格をPBR1倍未満と設定した企業に対しては、一般株主から価格妥当性への批判の声も聞かれる。

◆公正性担保措置として、特別委員会の設置や法務アドバイザーの助言、第三者算定機関による株式価値算定書の取得等が標準化されてきている。MBO実施にあたっての一般株主保護のための仕組みは、概ね日本の実務において定着しつつあると言える。

◆総じて、MBOの戦略的活用は今後も拡大が見込まれる一方で、アクティビスト介入、対抗TOBへの備えやTOB価格の妥当性を担保するために、公正性担保措置の高度化・透明性向上が進むと考えられる。案件の性質に応じてどの程度の公正性担保措置を講じれば一般株主への説明責任を果たしたと言えるのか、その標準化が今後の株式非公開化を伴うMBO実務における論点として注目される。

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