2022年03月28日
サマリー
◆上場親会社が上場子会社を完全子会社化する事例数は、2017~2021年において若干の増加傾向にある。
◆各社のプレスリリースを分析すると、上場子会社のコーポレート・ガバナンス水準の高まりや東京証券取引所の市場区分の見直しを契機として企業グループのあり方が見直され、その結果、上場子会社の完全子会社化を実施する企業が増えている。
◆2019~2021年は新型コロナウイルス感染症を始めとして外部環境が大きく変化したため、上場親会社・上場子会社を含めた企業グループ全体で、短期的な利益にとらわれない抜本的な改革を推進する必要性が増したことも、完全子会社化を後押しした要因であると推察される。2021年は、脱炭素化に向けて中長期的な施策を実施するために完全子会社化した企業が多かった。
◆東京証券取引所の市場区分見直しを契機とした完全子会社化の動きは一段落すると思われるが、経過措置期間中に上場子会社の完全子会社化を再検討する企業が新たに出てくる可能性もあるであろう。また、コーポレート・ガバナンス水準や脱炭素化対応は今後もますます高度化していくものと考えられるため、今後も完全子会社化によりグループ全体での抜本的対応を加速させる企業が多くなる可能性も十分ある。
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