サマリー
◆近年、企業年金の導入割合が中小企業で大きく低下傾向にあり、企業年金に未加入の多くが中小企業の従業員と考えられる。そこで、事務負担の大きさ等から企業年金の導入が難しいと考える事業主向けに、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する従業員の資産形成を支援する制度として創設されたのが、iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)である。公的年金を補完する役割が企業年金を含む私的年金に求められる中、iDeCo+の普及推進は社会的な意義が大きい。本レポートでは、iDeCo+の普及について考察した。
◆2018年5月の制度開始以降、iDeCo+の実績は着実に増加しているが、対象事業所全体に占める割合は1%に満たない。企業型DC(企業型確定拠出年金)では事業主が運営管理機関から全面的なサポートを受けられるのに対し、iDeCo+ではそうしたサポートを受けにくく、制度導入のハードルが引き上げられている点が要因の1つに考えられる。普及推進のためには、制度の周知徹底に加え、事業主の導入にかかる手続きを多方面からサポートする体制の整備が必要だ。就業規則の整備や細かい制度設計等につき、個別具体的に対応できるよう、専門家を配置した相談窓口の設置なども求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
DC自動移換者問題の解決に向けて
自動移換者を「発生させない」「増やさない」対策が求められる
2025年03月03日
-
年金積立金の平滑化メカニズムにリスクはないか?
GPIFの2024年度3Q運用実績と年金財政の動向
2025年02月19日
-
少子化対策の財源確保に向けた医療・介護の歳出改革
医療・介護費の伸びを抑制する視点がますます重要に
2025年02月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日