iDeCo+で進める中小企業の私的年金改革

制度の周知徹底、事業主を多方面からサポートする体制の整備が必要

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2024年07月16日

サマリー

◆近年、企業年金の導入割合が中小企業で大きく低下傾向にあり、企業年金に未加入の多くが中小企業の従業員と考えられる。そこで、事務負担の大きさ等から企業年金の導入が難しいと考える事業主向けに、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する従業員の資産形成を支援する制度として創設されたのが、iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)である。公的年金を補完する役割が企業年金を含む私的年金に求められる中、iDeCo+の普及推進は社会的な意義が大きい。本レポートでは、iDeCo+の普及について考察した。

◆2018年5月の制度開始以降、iDeCo+の実績は着実に増加しているが、対象事業所全体に占める割合は1%に満たない。企業型DC(企業型確定拠出年金)では事業主が運営管理機関から全面的なサポートを受けられるのに対し、iDeCo+ではそうしたサポートを受けにくく、制度導入のハードルが引き上げられている点が要因の1つに考えられる。普及推進のためには、制度の周知徹底に加え、事業主の導入にかかる手続きを多方面からサポートする体制の整備が必要だ。就業規則の整備や細かい制度設計等につき、個別具体的に対応できるよう、専門家を配置した相談窓口の設置なども求められる。

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