公的年金を何歳から受給開始するべきか?

「金利のある世界」での繰上げ受給・繰下げ受給

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2024年07月12日

サマリー

◆公的年金は原則として65歳から受給開始されるが、受給者は受け取り開始年齢を60歳~75歳の間で選択できる仕組みになっている。累計受給金額を最大にすることを切り口に、何歳で受給開始するのが最適か考える。

◆2022年4月に繰上げ受給の制度変更があり、減額率が▲0.5%/月から▲0.4%/月になった。この影響を分析すると、最適受給開始年齢は早期化する結果となった。また、2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除した。割引現在価値の考え方を用いて分析すると、金利が高くなることで最適受給開始年齢が早期化する結果になった。

◆最適受給開始年齢は一定の水準で急激に変化する特徴がある。そのため、金利が上昇していくと、最適受給開始年齢が一気に前倒しになり得る。年金受給開始は就労意欲と密接に関わってくるので、早期に退職して就労しない人が急増してもおかしくない。中長期的な人手不足に悩む日本経済にとって、制度的な要因で就労が抑制されてしまうのであれば問題だ。

◆そこで、最適受給開始年齢の急激な変化を平準化する方法を示す。繰上げ受給・繰下げ受給の増減額を一定にすることだ。制度的な要因による就労意欲への悪影響を小さくする方法を検討すべきだろう。

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