サマリー
◆健康保険組合(健保組合)の2021年度の経常収支は▲825億円と、8年ぶりの赤字が見込まれる。背景には、高齢者医療に充てるための拠出金が増えている影響もあるが、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年度を除いて、加入者向けの法定給付費が一貫して伸びてきたという事情もある。
◆これまでも健保組合は、特定健康診査・特定保健指導の実施を通じて予防・健康づくりを進めたり、後発医薬品の使用を促進したりすることで、医療費の伸びの抑制に努めてきた。だが、前期高齢者向け医療費の負担方法について見直しが検討されているなど、健保組合が直接コントロールできない拠出金負担のさらなる増大が懸念されている。
◆高齢者医療の負担と給付の見直しが求められるが、健保組合自身ができることとして、加入者向け医療給付費を一層効率化していく必要もある。レセプトデータの分析を、後発医薬品の使用促進だけでなく、受診行動の適正化やリフィル処方箋の活用、かかりつけ医を持つことの推奨等に効果的に活用することが期待される。
◆ただし、健保組合が加入者にかかりつけ医機能の利用を促すことが有効かどうかは、政府が進めようとしているかかりつけ医機能の定義づけや報告制度のあり方に大きく左右されることから、今後の具体的な制度設計に向けた議論に注目する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
現役世代の保険料率は引き下げられるか
サービス維持との両立には、給付と負担の改革、DX/AX推進が不可欠
2026年09月02日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
iDeCoは広がったのか-加入実態と残る課題
2026年4月加入者数395万人、12月制度改正に注目
2026年06月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

