サマリー
◆2023年4月より医療機関・薬局でオンライン資格確認のシステム導入が原則義務化されるのに加え、2024年秋を目途に従来の健康保険証が廃止される方針が決まった。だが、すでに運用を開始している施設においても、患者情報はほとんど活用されておらず、また、患者自身によるマイナポータルの閲覧を通じた健康管理も進んでいない。
◆政府は、オンライン資格確認の活用がより良い医療の提供になるとしているが、医療の質を高めるための患者情報を活用した診療・処方のあり方は明確になっていない。また、患者が主体的に健康を管理し、医療に参加することも期待されているが、患者がマイナポータルで確認できる情報をどのように行動変容につなげるのかは不透明だ。
◆米国のEHRでは、患者情報の活用を医療の安全性向上につなげるため、医師らが適切でない薬や検査を選択した場合のアラート機能等が整備されている。また、患者はポータルを利用して、医師から診療後のフォローアップを受けられ、治療への理解度が深まるほか、医師にリフィル処方箋を希望することもできる。オンライン資格確認を基盤とした医療DXを進めるには、医療従事者と患者の双方のメリットを明確にする必要がある。
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