サマリー
◆2021年度の公的年金の年金額は、2020年度比で0.1%の引き下げとなった。4年ぶりのマイナス改定である。
◆マイナス改定となったのは、2021年度より改定ルールが見直され、賃金の変化率が物価の変化率を下回った場合(つまり実質賃金が下落した場合)には、賃金変動に合わせて年金額を改定することが徹底されたためだ。改正前のルールに従えば、0%改定(年金額は据え置き)だったから、ルールの変更により現在の受給者の給付水準が0.1%分抑えられた。その効果は将来の年金水準の確保に及ぶことになる。
◆年金給付額を実質的に引き下げる仕組みであるマクロ経済スライドは、2021年度は発動されなかった。2004年の制度改革以降、それが実施されたのは3回で、本来求められる給付調整は思うように進んでいない。年金額が前年度の名目額を下回らないようにするというマクロ経済スライドの名目下限措置の撤廃を、改めて検討すべきである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
-
対象者拡大から8年、今後のiDeCoの可能性
iDeCo加入者数363万人(2025年3月末)、対象者拡大前の12倍に
2025年05月27日
-
DC自動移換者問題の解決に向けて
自動移換者を「発生させない」「増やさない」対策が求められる
2025年03月03日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日