サマリー
2019年8月末、財政検証結果が公表された。経済成長が進めば将来の給付水準は所得代替率で50%を維持できるが、低成長の場合には50%を維持できなくなるとの結果であった。成長戦略の実行はもとより、公的年金の改革が急がれるが、同時に重要なのが私的年金のさらなる拡充である。本稿ではその拡充策を行動経済学の知見から考察した。
海外では、様々な分野で行動経済学の知見が応用されている。米国や英国などの国では、資産運用や年金制度の設計においては、加入率向上のための自動加入方式の導入や、効率的な資産運用を支援するためのデフォルト・ファンドの設定等における応用例があり、その成果も報告されている。一方、スウェーデンの事例からは、デフォルト・ファンドの有効性があらためて示され、日本のDCの課題を改善する上で、重要な示唆を与えるものである。
海外の事例、またこれまでの日本における議論の状況からすれば、日本の私的年金の拡充策としては、企業年金の導入が進まない中小企業への自動加入方式の導入と、デフォルト・ファンド設計を再考する必要性が指摘できるのではないだろうか。
大和総研リサーチ本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日