サマリー
◆現行の制度や医療サービスの需給構造を維持した場合、2040年度の医療費は経済規模対比で現在の1.5倍近くに増加すると見込まれる。近年の医療費の伸びのうち、高齢化要因で説明できるのは半分程度にすぎない。高齢化以外に要因による医療費の増加を抑えることができれば、将来の医療費の姿は大きく変わる。
◆医療費が高齢化を上回るペースで増加する原因として、技術進歩による単価上昇や医療サービスの非効率性などが指摘されている。だが、これまで詳細な分析は行われてこなかった。安倍内閣が進める経済・財政一体改革ではその実態を明らかにし、効果的な施策を検討しようとしている。
◆厚生労働省が最近公表した分析によると、高齢化以外の要因による医療費の増加に最も寄与したのは調剤であり、特に薬剤料が押し上げている。今後本格導入のための検討が進められる薬価の費用対効果評価の対象を一部の高額薬剤や高額機器だけでなく、それ以外にも積極的に広げることや、薬価改定の頻度の見直し、機能する「かかりつけ薬局」制度の普及と調剤技術料の見直しなどが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日